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インタビュー vol.28 東大阪大学・東大阪大学短期大学部 学科長インタビュー

東大阪大学・東大阪大学短期大学部 学科長インタビュー

今年度から新しい学科長を迎えた、国際教養こども学科、実践食物学科、実践保育学科。
東大阪大学・東大阪大学短期大学部ならではの学びや経験、学科長としての想いを伺いました。
(インタビュー日:2022年6月)

※インタビュー中はマスクを着用し、写真撮影時のみ外しております

東大阪大学こども学部 国際教養こども学科 学科長 井原幸治教授 世界を舞台に活躍できる国際教養とスキルを身につける

まるで留学生活を送るような学生生活

国際教養こども学科の最大の特徴は「多文化共生」だと考えています。
この学科には日本人もいれば、留学生や渡日生もいます。そういう様々なルーツの若者が四年間この大学に集い、共に学んでいる。日本人の学生にとってみれば、日本にいながら海外で留学生活を送るような感覚が味わえると思います。
自分たちとの違いを知り、共同していろいろな問題を解決できる。そういうスキルを学ぶことができる場所です。

3つの特徴、3つの志

本学科のカリキュラムには、こども学をベースに3つの特徴があります。

まず一つ目は語学です。
英語に関しては一年次から四年次までの間、11科目を用意しています。
さらに「多言語同時習得プログラム」という、英語を学びながら中国語または韓国語、留学生・渡日生の場合は日本語を、というように同時に2つの言語を学べるプログラムを組んでいます。ですので語学が苦手なかたでもバイリンガルになれるチャンスがあります。
そして外国人とともに勉強するので、日常的に様々な言語に触れることができます。

二つ目は経済系の科目が豊富にあるということです。現代社会や国際社会の中で起きている問題、例えば今起きている戦争により物流が滞っていることなどを取り上げ、流通のメカニズムやマーケティングを武器にどうやったら解決できるのかを、実践を通しての問題解決型の授業を心がけています。

三つ目は国際文化教養というカテゴリーの学問です。これは日本と外国との様々な違い、肌の色や宗教、経済や社会システム、これらを勉強することによって、相手の国を知り、問題が起きたときに解決できる方法を身につけるためのものです。

そして「3つの志」というものを学生と共有しています。
 1. 海外の日本人学校の先生になろう。
 2. 青年海外協力隊で国際協力を行っていこう。
 3. 企業に就職して、海外との業務を十分にできるための教養や技術を身につけよう。
大学を卒業したら国内外で国際的な仕事がしたいといった希望を持った学生を求めています。

貴重な経験となる海外研修 (※2022年度はフィリピンにて実施予定)

国際性をより身につけるために、二年次の時に必修授業で海外研修があります。
英語を勉強し、日本人社会・日系人の街に出て、人生の先輩がたのお話を聞きに行ったり、日本人が外国でどのように仕事されているかを、会社訪問や工場見学をさせていただいたり、海外の食事や観光も楽しむことができます。
学生でいる間に、外国の社会がどのように成り立っていて、その中で日本人の関わり方を自分の目で見て、肌で感じることのできる、充実した研修となっています。

高校生へメッセージ

今、皆さんがテレビやインターネットで目にする、少子高齢化や貧困、格差などの国内問題、そして海外の紛争や戦争、国際的な環境問題……このような社会問題が、将来自分が社会人になった時にどうなっているのかを想像してみてください。
皆さんの中で、このような社会問題に関心を持っていたり、なんとかしなきゃ!と思うかたがいれば、今、英語ができなくても大丈夫です。今、海外のことを知らなくても大丈夫です。外国に行ったことがなくても大丈夫です。
我々教職員が一丸となって、皆さんを国際的な人間になれるように応援していきます。問題意識を持っているかたは、一度オープンキャンパスを見に来てお話ししましょう。
そして、来年の春から一緒に勉強できることを楽しみに待っています。

東大阪大学短期大学部 実践食物学科 学科長 冨田昇教授 無駄な努力はない。活かされ、新しい芽となる。

経験豊富な教員が指導することの強み

実践食物学科は栄養士コース製菓衛生師コースと2コースあります。
本学科の教員は、病院勤務だったり、保健所であったり、あるいはホテルだったり、教員となる前に他職を経験された先生が、授業の中で実際の体験を踏まえて話をされます。
単に栄養士や管理栄養士、製菓衛生師になるということだけではなく、その仕事に対する意識が授業の中で身についてくる。これは本学科の大きな特徴かな、と思っています。

大阪府下で教員免許(家庭)が取得できる短期大学は東大阪大学短期大学部だけ

私の専門は教育学です。教員免許を取得したいと考えている学生の指導を、とのことで声をかけていただき、私自身も自分の経験が活かせると思い、この学科で指導しています。

その中で、学生の意識が変わってきたな、という実感があります。
入学する前にいろいろな学校を調べてきて、この学科に入学して栄養士の資格も取りながら、教員免許を取る。そのなかで教員免許取得を第一希望としている学生が増えてきました。この春も二人教員になりましたが、この学生は入学したときから「教員になる」という意識を持っていたし、それに対する姿勢は真剣そのものでした。

家庭科という科目は、食だけではなくて被服であったり生活であったり、それらすべてを二年間でマスターしていくのは時間的にも厳しいと思うし、自身の学びの最中に、実習で授業を受け持つことにもなる。
実習見学に行って、とても真面目に、必死になって取り組んでいる学生たちを見ると、こういう姿勢が教師という道に繋がっているんだな、と痛感します。
やはり強い決意がないと、教師という道は開けないし、なってからも大変ですよね。四年制とくらべて二年のハンデがある。卒業した次の日から「先生」と呼ばれる立場になる。その中でいかに教師として振る舞っていくか。苦労の連続ですが、それを克服してがんばっているなあと感じています。

「食の大切さ」を伝えてほしい

我々は生きていく中で「食」ってずっとついてまわりますよね。幼児の「食」に関わる人がいれば、高齢者の「食」に関わる人もいる。今だったらアスリートだったり、様々な分野で関わってくる。
この学科には、昆虫食を研究している先生もいますし、今後これまで以上に「食」って多様化してくると考えています。学生たちがこの学科で少しでもその先端を理解してくれたら、やがて将来の担い手になる可能性がある。今ある「食」を大切にしながら、これからの食文化を改革し、順応して開発者となっていってほしい。そのために基礎をしっかり学んでもらって、その上で自分なりに「食の大切さ」を伝えていけるような人になってくれたらと思っています。

高校生へメッセージ

高校生って可能性を秘めていますよね。何にだってなれる。だけど何にでもなれるけど、何になっていいかわからない。誰もが思うことだと思います。
これから先、進路を決めるにあたって「自分がなりたいものが見つからないから、何もしない」のではなく、少しでも興味があるもの、やってみたいこと、それが糸口になるのではないでしょうか。
それに繋がる学校に入学し、実際にやってみたら、だんだん向き不向きも見えてくる。不向きであったら困ると思うかもしれないけど、自分が取り組んだことから新しい芽が出てきます。その新しい芽が出たら初めて、自分の将来がわかってくるんじゃないかな。
この学科は6つの資格が取れます。6つあったら、その中から選ぶこともできるし、そこを土台にして次の新しい芽を出し、育てることもできる。
まずは自分がちょっとおもしろそうだな、と思うところに照準を合わせて進んでいくと見えてくるものはあるし、その中で先生や友人などの出会いもあるだろうし、そうやって本当に自分が進みたい道を見つけ、歩んでいけると思います。

東大阪大学短期大学部 実践保育学科 学科長 野尻美津代教授 自分の中に潜在するセンスを発見し発信できる場所

子どもと触れ合う機会が豊富

東大阪大学は「こども研究センター」という地域の親子のための子育て支援施設や、附属幼稚園もあり、実習以外にも施設見学やボランティア活動など、子どもと接する機会を多く設けています。
実際に子どもと接することで、体験して習得することができる。座学で学んだことを実践できます。
この学科では少人数での担任制をとっておりますので、教員との距離が近く、また保育に関わってきた教員も多くいますので、保育に関することはもちろん、いろいろなことを相談しやすい環境です。

子どもの成長から得るもの

私は幼稚園教諭として長年勤務し、園長経験もあります。
幼稚園の先生になろうと思ったきっかけは、幼稚園の時の担任の先生がすごく好きで、その時から「私は幼稚園の先生になるんだ!」と決めていました。
5歳児の担任になったとき、「絵本読むよ」って言っても、子どもたちはなかなか集まってくれませんでした。こんなはずじゃなかったっていう思いはありました。そこで役に立ったのはピアノでした。音を鳴らすと集まってくれる、曲を弾けば歌ってくれる。これっていいな!って。ピアノやっててよかったなって思いました。
いざ、クラスを受け持って最初の頃は、歌う時には子どもたちの声はバラバラで、この先どうなっていくのかなあって不安に思いましたが、だんだんクラスの子どもの意識が高まってくると、その声がひとつになるんです。ひとつになった時に、ピアノを弾きながら「うわぁ!ここまで成長してくれたんやなぁ」って感動しました。
そういう子どもたちの姿から「本当にいい仕事だな」って実感できましたし、ここまで育った子どもたちを小学校に送ってやらなければいけないんですが、「もったいないなぁ、もっと一緒にいてくれたらいいのになぁ」って複雑な思いを抱えた記憶もあります(笑)。

学問だけではない、授業で身につく力

この学科では「自分で考えて進めていく力」を養うことを心がけています。
教師主導の授業ではなく、学生参加型のアクティブラーニングを展開しています。友人とのコミュニケーションをしっかり取りながら、自分の意見を発信し、人の意見も聞き、相手を理解する。授業を通してこのようなことを育成していきます。
今年度の卒業研究発表では「ものを作り上げていこう」ということで、二年間の学習の集大成として、人形劇やアンサンブル、創作ダンスをする予定です。
さらに、地域の方に実際保育学科とはどんなところなのか、保育士の卵がどのような活動をしているのか、ということを知ってもらいたいと思い、一般の方をお招きして、発表会を開催する計画をしています。
既存のものではなく自分たちだけで作り上げていくことで、自分の中に潜在しているいろいろなセンスを引き出し、存分に発揮することができる機会だと思っています。
また、この経験は保育現場において、子どもと何かを作り上げるときに役に立つと考えています。

高校生へメッセージ

子どもたちってほんとに素直で、大人が言ったことをすっと聞き入れてくれる。
保育士は、そんな子どもたちと一緒に生活できる喜びと、そばにいてその成長を一緒に喜べる、その成長を一緒に楽しめる仕事だと思っています。
この学科なら、ひとつずつ力をつけ、先生として楽しみながら学べる「生きた教育」を感じられるはずです。たくさんの子どもたちに笑顔を与えられるような保育士になってもらいたいです。


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