COLLEGE MAGAZINE

インタビュー vol.20 国際交流クラブ

国際交流クラブインタビュー

世界は今、国や人種・性別を超えて多様化し、「違い」を尊重し受け入れる寛容性や平等が重要視されています。
東大阪大学・東大阪大学短期大学部でも、海外からの留学生が多く学び、交流を深めています。
学内だけでなく地域や世界にも活動場所を持つ国際交流クラブを代表して、部長であるネパール出身のサプコタ スマンさん(インタビュー時: 国際教養こども学科3年)、バングラデシュ出身のブイヤン オバイエアドさん(インタビュー時: 国際教養こども学科1年)、徳本 開迪さん(インタビュー時: 国際教養こども学科1年)、顧問の山本先生にお話を伺いました。(インタビュー日:2021年1月)

※インタビュー中はマスクを着用し、写真撮影時のみ外しております

国際教養こども学科を選んだ理由

スマン部長
私はネパール出身ですが、貧困によって学校に行けない子どもたちがたくさんいます。道端で物乞いとか…お父さんとお母さんが仕事をしていても、それだけでは家族を養えないから、子どもも働かないと生活できない。だから子どもが教育を受けることができない。またその子どもが成長し、自分の子どもを持ったとしても、同じことの繰り返しで、その貧しい環境から抜け出すことができない。
でも、もしその子どもが学校に行って教育を受け、良い仕事・収入が高い仕事に就き、その貧しい環境を抜けだすことができたら、ということを目標に、ネパールだけでなくアジアの子どもたちの研究をしたいと思って、この東大阪大学に入学しました。

オバイエアドさん
バングラデシュでは、ここ最近で経済的に大きく成長しました。たぶん10年後にはもっと上昇しているだろうと感じています。やっぱり教育を受ける人が増えてきているからだと思います。
しかし、スマンさんもさっき言われましたが、まだまだ貧しい人たちもいます。だからその人たちのために何か良いことができたらと思い、国際教養こども学科で学び、アジアの子ども関係の仕事をしたいと考えています。

徳本さん
元々言語を学びたいと考えていました。日本の価値観に縛られることなく、広い視野で海外を見たいと思っていて、それには外国語は必要だと。それで学校を探していると、ここは留学生が多く学んでいると聞いて、それって他の大学と比べて少ないことなので、ここに決めました。
入学して、国際交流クラブにも所属し、同年代の様々な国の人と話せたりして、海外の方と触れ合う機会が増えました。

国際交流クラブの活動について

スマン部長
クラブの目標は、留学生と日本人みんなが仲良くなること、留学生同士でもコミュニケーションを取ること、に置いています。
今行っている活動は、毎週金曜日夜の8時半から9時の30分間、Zoomを使って、インドのNDIM(New Delhi Institute of Management)というMBAの大学院の皆さんと交流をしています。毎週50人以上が参加されています。

山本先生
私が以前仕事をしていた学校です。2019年に日本語コースができ、日本の学校と交流したいので検討してくれないかとのことで話がありました。
スマンくんはヒンディー語もインドの言語も英語も話せるので、向こうの日本語学科の助手の先生と2人で、授業のプランなど全部練ってくれて、活動として実現することができました。

スマン部長
Zoomで彼らに日本のことを教えています。日本のルールであったり、文化。そしてビジネスの話とか経済関係。向こうはMBAで経済の勉強をしており、将来は日本の会社で働きたい、日本人と働きたいという気持ちを持っているので、彼らには話のやり取りとか、コミュニケーションを取る手段なども教えています。

徳本さん
この活動のなかで、僕は日本語のネイティブ発音を教えることをしています。教えるのは難しいですね。日本人が少ないので、自分が手本にならないといけないというプレッシャーがあって。この時間、兄が隣の部屋にいるので、終わった後に聞くと「緊張しているからか、片言で話してるよ」とか言われたりして。
ネイティブとしてちゃんとできているかなというところは不安ですが、楽しいですね。すごく。
相手の言語を聞きながらとか、相手の顔が見えることとか。日本にいながら海外の方と繋がれることがよかったです。
相手にどうしたらうまく教えられるか、を考えながら手探りでやっているところです。

2021年度の展望は

スマン部長
クラブとしては、みんなが仲良くできて、充実した大学生活を送れるように、イベントを開催したり、交流できる場所を増やしたいです。
オバイエアドさんを国際交流クラブに誘ったのは、バングラデシュからの留学生は彼だけで、イスラム教徒でもあります。イスラム教には特別なルールがあって、彼が知っている、持っていることをみんなに知ってもらいたい、バングラデシュについて教えてほしいと思ったのがきっかけです。
他の留学生も見ていると、あまりクラスで話をしていないんですよ。ずっとスマホを見てて。それはちょっとよくないなと思って。せっかくお互いの文化をシェアできる、楽しい大学生活が送れるはずなのに。

人っていうのは、きっかけを得ればなんでもできると私は信じています。
私自身も日本に来るチャンスがあったから大学に入学して、今こうやって話ができているんですけれども、「すべてが機会」という考えを持っているので、クラブのメンバー同士とも、メンバー以外の人たちとも交流できる機会、一緒に学べる機会を増やしていきたいと考えています。
そしてインドの大学院生との交流会も継続し、さらに高校生からも交流したいと依頼が来ているので、いろんな高校に行って、今私たちがやってるクラブ活動のことであったり、私たちが知ってる知識、学んだことを発表する。そういう機会もこれから作っていこうかな、増やしていこうかなと思っています。

今必要な「国際交流」とは

スマン部長
お互いを理解すること。文化の違いを認めて、人として仲良くしていく。そして自分が困っているときは相手に助けてもらい、相手が困っているときは自分が助けに行く。
界中にいろいろな問題が起こっている今、生きていくことが困難な状況が続くかもしれないと考えているので、人としても国としても、お互い優しく仲良く交流していくことが必要だなと感じています。

オバイエアドさん
もし外国を旅行するとしたら、その国にはどんな文化があるのか。多分、知っていたら問題は起こらないと思います。自分も日本に来る時に、知らないことが多く、困ったこともあったので、国際交流として学ぶことを大事にしています。

徳本さん
異文化コミュニケーションという授業の最後の課題で、ヨーロッパ各国が共同で作った「スパニッシュアパートメント」という映画を観ました。様々な国の留学生が、寮での生活を営むなかで起こるできごとがテーマとなっていました。 その映画の中で異文化……国だけでなくて、ジェンダーについて描かれた部分もあって、多様化が進んでいる今だから、こういうことからもきっかけにして、もっと考える人たちの輪が広がっていけばいいなって感じました。 さきほどスマンさんが言っていた、きっかけが広がっていったらいいな、みたいな感覚です。

山本先生
日本の学生は独特のカラーがあると思っています。集団でいることだったり、そのなかでお互いの気持ちもわかるし、入ってはいけないところもあるから、その辺は踏み込まないでおこうとか。ところが、この大学は違う価値観の人がたくさんいる。
顧問としてクラブでの活動を見ていると、交流のなかで個人が放つ個性みたいなものが、誰かを変えていく瞬間に立ち会うことができます。相手が変わることでまた違う良さが引き立てられたりということが、いろいろなところで起こっている。自分の知らなかったっていうか、普段の仲では出せない、出てこない、自分の良さを引き出せるクラブだし、そういうメンバーが揃っていると実感しています。
やっぱりみんな楽しいことがしたい!って思っているけれど、知らない土地や人との関わりのなかでどうしたらいいか分からない……そんな時に、彼らがいるっていうことは大きいかなと思います。

将来の目標

スマン部長
将来的な目標は……日本に来て初めてネパールとの違いに気づくことがたくさんありました。日本は設備が整っていること、義務教育があること。犯罪が少ない。そういう日本から学んだことをネパールの人に伝える。そして、ネパールのことを日本に伝える。架け橋になり、2つの国に貢献できるようなことをしたいと考えています。
両親はあまり教育を受けられなかったのですが、僕たち子どもには教育を受ける機会を与えてくれました。父と母のために、家族のために、そして世の中の人のためになることをするという文化で育ち、教えられてきたからこそ、自分だけが幸せになるのではなく、みんなが幸せになれるような社会や世界を作っていきたいという夢を持ちました。
まだまだ分からないことがありますし、学ばないといけないことも多いのですが、絶対実現できるように頑張ります。


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