COLLEGE MAGAZINE

インタビュー vol.11 井原 幸治 教授

「異文化研究交流センター」の使命についてセンター長にお伺いしました。

井原 幸治 教授
COLLEGE MAGAZINE vol.28 Interview vol.11

「異文化研究交流センター」は“地域に密着した国際交流”の場。

「異文化研究交流センター」は“地域に密着した国際交流”の場。

「異文化研究交流センター」には2つの大きな役割があります。
1つ目は東大阪大学の学生が国際化していくための援助、留学生に対しては日本で生活していくための援助を行うこと。2つ目は東大阪大学と地域の方々を結んでいく「産学官(※)」への取り組みを行うことです。(※「産学官」とは産業界(民間企業)、学校(教育・研究機関)、官公庁(国・地方公共団体)のこと)
例えば、11月19日にはNPO東大阪日本語教室(HONK)の皆様と共に「外国人お料理自慢大会」を開催しました。日本語学校に通う外国人の方がお国自慢として、各国の料理をふるまうイベントです。参加者と審査員を含めた約30人分の料理を作るため、本学の学生もサポートに入りました。協力して調理し、完成した料理を一緒に食べることで交流を深めることができました。

外国人お料理自慢大会レポート
→COLLEGE MAGAZINE「外国人お料理自慢大会」レポートはこちら!

また、12月3日には「東大阪大学 日本語・外国語弁論大会」を開催。このイベントには市役所、商工会議所の後援もいただき、当日は東大阪市の野田市長にもご臨席いただきました。本学からも多くの学生が参加し、日本語、英語そして中国語でスピーチを行いました。
東大阪大学の学生にとっては社会へ触れるきっかけとなり、地域の方々には東大阪大学の地域への貢献活動を体感していただくことができるイベントになったと思います。

社会人として必要な技術を身に付けるための実践的な授業。

私の専門分野は、社会学系領域です。企業の経営戦略やマーケティングを研究しています。
実践的な授業ということでは、「表現方法論」という科目があります。設定されたテーマについて肯定側・否定側に分かれて話し合い、相手を論破する技術を身に付ける「ディベート」ですね。分かりやすい書類の作り方はもちろん、手の動き、アイコンタクト、声の大きさなどで、相手に物事を効果的に伝える「デリバリー」というテクニックを教えています。
このようなコミュニケーション能力はビジネスマンだけに必要なものではありません。保育士や小学校の先生も、保護者や子どもたちに自分の考えを伝える必要がありますよね。そして、議論が噛みあわない場合は効果的に自分の考えを伝えて、理解して、納得してもらう…。全15回の授業で、社会人としての自信を持つことができるように訓練しています。

セブ島での研修で得たものは英会話力と肌で感じる特別な経験。

アジアこども学科では英語教育にも力を入れています。2018年から一部の小学校で英語教育が開始され、2020年には全国で義務化されます。また、国内の少子高齢化の対策としてマーケットを海外に求める企業が増加しています。日本に定住する外国人も増えてきていますよね。こういった社会変革が起こっている中で、コミュニケーションの基本となる言語は英語です。
今年の海外研修ではフィリピンのセブ島に赴きました。フィリピン人の先生に、マンツーマンで1週間みっちり英会話を教えていただきました。朝8時半から昼の1時まで、小さな衝立の中でもうイヤってなるほど。(笑)午後からはアクティビティの時間で、自分たちの力でタクシーに乗り、観光地に行き、スーパーで買い物をしました。また、現地の大学ではディスカッションや学生たちだけで1時間のキャンパスツアーをやっていただきました。一緒にランチを食べたり、フィリピンの言葉を教えていただいたり…短い間でしたが、すっかり打ち解けることができました。もちろん、会話はすべて英語です。
更に、アジアの情勢を理解するために、裕福な家庭の子どもたちが通う幼稚園から高校までの私立学校と、親から捨てられて栄養失調の子どもたちが集まっているマザーテレサの孤児院を見学しました。私立学校はフィリピンの人口の内、約1%のお金持ちが通う学校で、子どもたちは洗練された教育を受けています。しかし、孤児院では鉛筆のように細い子どもたちが不衛生な場所で暮らしています。この両極端な状況を見学して、学生たちがどのようなことを感じ、学んでいくのか…。孤児院では子どもたちに触れることすら躊躇していた学生が、1時間も経つとその子を膝の上に乗せてオートミールを食べさせてあげたり、お別れするのが惜しくなるまでになっていました。テレビや新聞だけでは分からないことを実際に体験できたことが、学生たちにとって大きな経験になったと思います。

「異文化研究交流センター」が目指すものとは…

東大阪大学の学生に幼稚園教諭+国際性、小学校の先生+国際性、一般企業に就職した場合も+国際性というような、仕事+国際性を武器にして卒業できる環境を整えていきたいと考えています。留学生にとっては帰国して将来子どもが生まれたときに「日本は良い国だった」「日本で勉強したから、今の仕事がある」「日本に留学して良かった」と胸を張って言ってもらえるような、代々続いていく大学になりたいですね。
社会との関わりの中では、東大阪大学が地域で機能しているんだということを、具体的な活動を通して知ってもらいたいです。例えば、アトピーの子どもの対策として非アレルゲンのシリアルを開発して、それを市役所や商工会議所と組んで、地元のスーパーマーケットで「東大阪大学ブランド」として展開してもらう。そうすることによって、「もの作りの東大阪」「教育の東大阪」へ繋がります。産学官一体となって多様な活動を行っていきたいと考えています。

異文化研究交流センターtwitter

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