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インタビュー vol.22 2020年度を振り返って ~短期大学部編~

2020年度を振り返ってインタビュー ~短期大学部編~

東大阪大学編に続いて短期大学部編。学生のみなさんそれぞれの1年間に触れてみてください。(インタビュー日:2021年1月)

※インタビュー中はマスクを着用し、写真撮影時のみ外しております

未来ある子どもに携わる仕事には、夢があると思う。実践食物学科 栄養士コース2年 中島早優莉さん

―― 栄養士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

中島さん 小学校5年生の時、給食の栄養バランスを学ぶ、という授業があって、給食がどれだけバランスよくできているかというのを知りました。給食ってすごいな!と思って、そこから栄養士になりたいと考えるようになり、小学校の卒業アルバムにも「将来の夢は栄養士」って書きました(笑)。

―― 東大阪大学短期大学部を選んだ理由は?

中島さん 在学中の2年間で5つの資格が取れるというところに魅力を感じて選びました。
栄養士を目指すのと同時に、学校の先生にも憧れていたこともあり、栄養士と教職、一度に両方の資格を取るなんて無理かなって諦めかけていました。教職を得るために4年制大学に行くのはお金もかかるし、それだけの時間があるなら、栄養士として手に職つけて働いた方がいいだろうなって。
だから2年制の短期大学で栄養士の資格が取れるところを探していたら、教職も取れるこの東大阪大学短期大学部を見つけて。これが私のなりたい道だ!と選びました。

―― コロナ禍での学生生活について聞かせてください。

中島さん 思うようにいかなかったことは、実際に実習ができない期間が結構長く続いてしまったことです。
実験が連続してできないことで忘れてしまうこともありましたし、先生が送ってくれたビデオを見たりもするけど、それだけでは実際には分からないことも多くて、結局、課題を提出するだけの作業になってしまったりとか。
学びにつなげる努力を自分でしない限り、得られる知識が少なくなってしまった、というのはありました。逆に言えば、ビデオの授業なら、空いた時間で何回も見直すことで復習できるので、そういう工夫はしました。

―― 実習はどのように進められましたか?

中島さん 例年なら、1年次で調理の基礎を学んで、2年次で附属高校の学生さんを招待して120食分の食事を提供し、その後栄養についての講義をする、という大量調理実習があるのですが、今年度は規模を縮小して、学科の1年生や製菓の学生たちを招待して行いました。
でもそうなると食に通ずるものがある人しかいないので、ちょっと残念だったなって思います。今回のメニューはこういう状況でもあるので「免疫力をアップさせる」という内容にしたので、余計に知ってほしかったですね。
あと、調理後に私たちも実際に食べてみて、味がどうだったか、この調理はどうだったか、話し合いながら考察までするというのが調理実習ですが、それが自由にできなくなってしまったこともありました。

―― 卒業研究は「手洗い実験とマスクの菌検査」というテーマでしたね。

中島さん 卒業研究は2年生から始まるゼミの仲間で取り組むのですが、そのタイミングでちょうど新型コロナウイルスが流行りだしました。
「手洗いが大事」と言うけれども、どういう風に洗ったら1番いいのかとか、マスクが日常で必要になってきたり、その生活を衛生管理側の立場から研究テーマとして取り上げてみました。

―― 卒業研究に取り組んで気づいたことを教えてください。

中島さん 爪の洗い残しが多いことです。なぜ爪ブラシを使ってまで洗浄しないといけないと言われているのか理解できました。
手荒れの場合の菌検査も行いましたが、手荒れに菌がついているから手袋をして防ぐことや、マスクについても同じで、表面に結構な数の菌がついていたので、調理の時に触ってしまうとそのまま食品に入ってしまったり、またトイレに入った時点で手を洗うというのは大切だなと感じました。
手洗いであったり、マスクであったり、自分にとっては何気ないことのひとつだけど、それによって影響が出てしまうので、安全な食を提供するために注意を払うことが重要だと思いました。

―― 将来の夢は?

中島さん 学校給食に携わりたいです。子どもたちの将来に関わることなので、そういう面で夢がある仕事かなって私は思います。

先生や仲間と一緒にやりたいことに挑戦し、様々な経験ができた。実践食物学科 製菓衛生師コース2年 小池ひなたさん

―― 東大阪大学短期大学部を選んだ理由は?

小池さん 東大阪大学敬愛高校出身で、調理製菓コースに入っていました。ケーキなどを作っていた時とても楽しかったので、お菓子の道に行ってみようかなと思って、この学校の製菓衛生師コースを選びました。
入学してみて、全ての授業が楽しいです。

―― 1番おもしろかった授業は?

小池さん この間、飴細工でバラを作ったのですが、それが楽しかったです。

―― 難しかったことは?

小池さん ザッハトルテです。
チョコレートで周りをコーティングするのですが、いつもやっているチョコレートでは、テンパリング(チョコレートに含まれるカカオバターの結晶を最も安定した状態にする温度調整作業のこと)をするとテカテカになってしまう。でもザッハトルテはテカテカにしちゃダメと言われて。そこが難しかったです。

―― コロナ禍での学生生活について聞かせてください。

小池さん 休校になりましたが、11月には国家試験があり、それまでに成績を出さないといけないので、他学科の学生より早く授業が始まっていました。
ただ、就職活動は影響を受けて難しかったです。
無事ケーキ屋さんに就職が決まりましたが、ネットで募集しているところにひたすら応募して、面接の連絡をもらって、インターンシップにも行かせてもらったりして。
いいなと思ったところに決まったので安心しました。

―― 卒業研究は「新型コロナウイルスに負けない食材を使ってパンを作る」というテーマで取り組まれていましたね。

小池さん 実は1年生から考えていたテーマがありました。先生から「水以外でもパンは作れるよ」と教えられ、水をコーラなどに変えて作ってみたい、それをテーマにしよう、と思っていましたが、新型コロナウイルスの流行もあって、食の立場からできることはないかと考え、取り組みました。
大豆粉を使用し、具材としてキムチとヨーグルトと納豆の3つを選び作りました。

―― 苦労したことは?

小池さん キムチとヨーグルトは、いつも通り具材を一緒に混ぜることができましたが、納豆の場合は納豆菌がグルテンの形成を邪魔してしまうので、全部混ぜ終わってから最後に入れることにしました。
またキムチは白菜に水分が含まれているので、水分量を計算しなおしたりもしました。

―― 1番おいしかったパンは?

小池さん キムチです。
私は辛いのが苦手なのですが、パンにしたらキムチのおいしさだけ出て、辛味が消えたので、おいしく感じました。

―― 授業以外でもお菓子を作りますか?

小池さん 兄の誕生日にいちごのショートケーキを作りました。
おいしいと言ってもらえて嬉しかったです。

―― 入学を考えているみなさんにメッセージをお願いします。

小池さん この学校は、あれやりたい、これやりたい、と言ったことを実現させてくれることが多いので楽しいし、いろいろな経験ができて、とてもいい環境だと思います。

大切なのは、どれほどの愛を持って接するかということ。実践保育学科2年 小林幸子さん

―― 子どもに関わる仕事に就きたいと思ったきっかけは?

小林さん 私が幼稚園に通っている時に、先生すごい!と憧れを持ったことがきっかけです。そこから自分が大きくなってからも近所の子どもたちの面倒を見たりすることもあり、もっと子どもと関われる仕事に就きたいな、と夢を持ちました。
中学校の頃から東大阪大学敬愛高校のこどもコースに入学して、東大阪大学短期大学部の実践保育学科に進学すると決めていました。
そして児童養護施設で実習を受けた時に、子どもたちとの関わりが、とても自分に合っていて楽しいなって感じて、そのまま実習先で就職することになりました。

―― 卒業研究について聞かせてください。

小林さん 「子どもの未来にとって重要なものとは何か」について取り組みました。
実際に起きた親子関係での事件や事故の事例を挙げて、何がその事件を引き起こした原因だったのか、子どものためにはどうしたらよかったのか、ということを調べました。

―― 発表の場では劇も披露されていましたね。

小林さん 資料だけではあまり伝わらないかなと思って、母親の虐待で亡くなった子どもの事例について劇で表現しようかなと考えました。私は母親役でした。

―― 母親を演じることで気をつけたことは?

小林さん 虐待する親が全部悪い・・・結果だけ見たらそうなるのですが、やっぱり要因があってそうなってしまったから、そういう母親の想いも込めて、役になりきろうと思いました。

―― 卒業研究に取り組んで思うことを教えてください。

小林さん 子どもの虐待については、今は新型コロナウイルスが大きな原因のひとつだろうと思っています。
1回目の緊急事態宣言が出ている時、保護者も在宅勤務だったり、子どもも休園っていう形になって、家の中でずっと一緒にいないといけない環境になりました。やっぱり園に預けている時より、一日中一緒にいる時間って全然違うと思います。そこで本当はそんなつもりじゃなかったのに、とっさに手が出てしまうことも多い、って聞きました。
発表した劇の内容は無園児(3歳以降になっても幼稚園や保育園に通っていない未就園児童)の話で、検診など、無園児のいる家庭に対して訪問する機会があるのですが、それすら緊急事態宣言で行けなくなってしまった。それで発見が遅れて亡くなるという事件に繋がったと思っていて、新型コロナウイルスの影響はいろいろな場面で出ていると考えています。

この他にも色んな事例を先生が持ってきてくれて、それをみんなで考えたり、今起きてるニュースを注意深く見る機会が増えて、知識が増えました。その中で私自身、児童養護施設で働くので、子どもがかわいそう、親が悪い、という見方だけではダメだと思い始めました。
あとは、子どもにとって本当の幸せ。
大人から見て、この子はこうしてあげたら幸せなんだろう、じゃなくて、子どもの立場に立って幸せとは何か考える、という視点もまた新しく生まれました。

―― 小林さんが思う「良好な親子関係」とは?

小林さん 「良好な親子関係」については、私の持論ですが、愛情が関わってくるのかな、と考えています。
どれだけ親子で信頼できているかとか、どれだけの愛情を子どもが幼いころから注げたかとか、たとえ里親になったとしても、里子に対してどれほどの愛を持って接するかによって、その先の関わりが変わってくるだろうって思います。

―― 入学を考えているみなさんにメッセージをお願いします。

小林さん 女性も男性も、みんな子どもを愛することができる、と教わりました。
養育する力がないとか、私は保育士は向いてないとか、学校でもそういうことを言う友達がいっぱいいますが、先生が言うのは、「みんなその力は持っている。やっていないだけであって、やろうと思ったらできる。本当に子どもが好きだったら大丈夫。なんとでもなる」と。
学生時代に失敗しても、働きながら学ぶことも出来るし、子どもが好きという気持ちがあれば十分だと思います。

日本で学んだことを活かして、母国で介護ビジネスを立ち上げたい。介護福祉学科2年 エマタ・ジェニナ・カリサイさん

―― どちらの国から来られましたか?

エマタさん フィリピンの田舎の方です。実家はチーズを作っています。

―― なぜ日本へ?

エマタさん フィリピンは人口が多い割に就職先が少なく、給料も低いので、日本に来ました。
日本に来てから日本語学校で学び、介護に携わるアルバイトをしていたところ、東大阪大学短期大学部を紹介してもらい、入学しました。

―― 介護の道を選んだ理由は?

エマタさん フィリピンでは看護の勉強をしていました。日本に来てから介護のアルバイトを始めて、お年寄りの方と接する中で、将来の話を聞いてくださったり、それについてアドバイスをいただいたり、そういうところが楽しいと感じました。
私はお年寄りと話すことが好きなんだ、と思い、それがきっかけで介護を仕事として続けようと決めました。

―― 日本に来て驚いたことはありますか?

エマタさん 日本にはフィリピンにはない色々なものがあります。自動販売機とか(笑)。なんでも自動販売機で売っていますね。

―― 介護福祉学科は留学生が多いですが、学生生活はいかがでしたか?

エマタさん 色々な人がいるので楽しいです。他の国の文化も勉強になりました。私はベトナム出身の友達ができました。
先生は厳しいですが、それも私たち学生のためだと分かっています。授業以外の時間は優しいです。また日本語も難しく、介護の言葉は特に専門的になりますので、頑張りました。

―― 思い出に残っていることは?

エマタさん グループワークです。あとは、技術支援のクラスで、様々な介護の技術を勉強できたことも楽しかったです。

―― グループワークとは?

エマタさん デイサービスでレクリエーションするためのものです。絵を描いたり、色々なゲームをクラスメイトと一緒にしました。

―― コロナ禍での学生生活について聞かせてください。

エマタさん この一年間は大変でした。
アルバイトもできなくなって、生活費のことも大変で、故郷にも帰れないので寂しかったです。
日本で一人暮らしなので感染したら困りますし、健康を考えて食べる物を考えたり、運動したり、注意しています。
家ではフィリピンの料理を作ります。よく作るものはカルデレータです。じゃがいも・人参・豚肉をピーナッツバターで煮込む料理です。

―― 将来の夢は?

エマタさん フィリピンは少子高齢化の逆で若者が多いです。だから介護の会社があまりない。フィリピンで介護のビジネスを立ち上げたいと考えています。


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